ポセイドン:火と水180度

ウォルフガング・ペーターゼン監督(2006年)『ポセイドン』(9/100)

有楽町のあれ、就職活動中の学生を集めてどうですうちの企業はこんなに立派な会場で説明会をするんですよ、みなさんのことは採用しませんが、今後ともあなたの人生にわたって我が企業をどうぞよろしく。と自慢するために作られた東京国際フォーラムホールAで試写会があったので行ってきた。直前にものすごい雨が降った。試写会プレゼント、応募した覚えはないけど無差別に送りつけているのだろう。武道館でも試写会あったらしい。
1972年の『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイクのパニック映画なんだけど、ポール・ギャリコの原作(1969年)まったく無視で、ひたすらVFXによるスペクタクルを追い求めているのはよかったんじゃないか。
タイタニック』は徐々に90度に向かって行き、クライマックスで水平に戻り、沈む。という展開だったが、『ポセイドン』はいきなり180度回転。笑う。そんな豪華客船21世紀にあるのか(ちなみにリメイクにあたって舞台は現代になっている)。双眼鏡見て「ヤバイ!」とかいってるレベルの豪華客船があるか。弟がニューヨークで入院しているが金がないので密航したエレナという登場人物がいるが、なぜに豪華客船なのか。ロンドンから来たんだろうに、社会福祉はどうなっているんだ。なぜか脱出メンバーに建築士がいて「船の構造上云々」と講釈するが、その前に「これってありえませんから」だろうに。
それはいいとして、とにかく人間ドラマを一切排除し(そんなもの入れても原作に勝てるわけないからな)、短い(90分ちょっと)尺で、火と水の『ダイ・ハード』を徹底するというコンセプトはちょっと気に入った。
一番良かったシーンは、天井(じっさいは床だけど180度回転してるから)が突き抜けて燃料(?)らしきものが水の中へと垂直に落下し、引火して垂直に火が駆け上がっていくシーン。この画を撮りたくてこの映画は作られたのではないか。
惜しむらくはカンフーが無い点。カンフー魂はあっても。天井からの落下といえばジャッキー・チェンで、ここでジャッキーを突然登場させても、荒唐無稽ではなかろう。そんなことはないが。
シナリオに関しては、全員助かるんじゃなくて、ザコキャラから1人ずつ、脱出過程で死んでゆく。それゆえに常に誰かが犠牲になるかもしれないという緊迫感を維持できていて、それもうまいと思った。
あと、ラストでまた180度回転するんだよね。360度回転して元に戻るというのも、気に入った。冬の大西洋に放り出されて凍らないのもいい。『タイタニック』は寒そうだったしね。

ポセイドン・アドベンチャー [DVD]

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評価★★★
http://wwws.warnerbros.co.jp/poseidon/
今回の映画公開にあわせて原作邦訳の新訳が出ていたので思わず買ってしまった。

ポセイドン 上 ハヤカワ文庫 NV キ 3-2

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ポセイドン 下 ハヤカワ文庫 NV キ 3-3

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