スコット・ラッシュ「再帰性とその分身」/1

【1】なぜ「再帰的」モダニティか?(Why ‘reflexive’ modernity?)〔01〕‐〔15〕
(ラッシュによればこの節は「序論に相当するもの」221である)

  1. 再帰的近代化理論が近代主義者とポモの論争からどう脱却できるのか
  2. 近代主義者とポモの批判理論解釈が抽象的であるのに対し、再帰的近代化理論はいかに社会分析に即座に応用できるか

211
ポモ=「フーコーの描くシナリオ」
212

  • 三段階の概念構成:〈伝統〉〈単純的モダニティ〉〈再帰的モダニティ〉
  • にそれぞれ対応。この過程での社会変動の原動力は個人化。
  • この脈絡において、ゲゼルシャフト(単純的モダニティ)は、個人化がゲマインシャフトの伝統的構造を打倒してきたという意味で、近代的特質を有すが、完全な近代ではない。
  • 個人化の過程は途上であり、新たな組み合わせのゲゼルシャフト的構造が、伝統的社会構造にとって代わっていったに過ぎないから。

213

  • 伝統社会の構造と単純的近代社会の構造の相違点
    • 両者はともに十分に発達していない個人化を前提にしているが、
    • 伝統社会は共同体的構造を想定し、(=意味の共有を前提)
    • 単純的近代社会は集合的構造を想定する(=利害関心の共有を前提)

215

  • 再帰性」とはなにか?
    • (1)agencyが社会構造から解放されることで構造に影響を及ぼす=制度的再帰性
    • (2)agencyがみずからにたいして影響を及ぼす=自己再帰性

217-219

  • 不安の問題
    • ベックは専門家システムを一様に安全性の獲得を妨げるものと見ている
    • ギデンズは専門家システムを安全性を獲得するのに役立つ手段と見なしている

219

  • このように即座に経験的に応用できる地歩は、再帰的モダニティの理論がしめす長所である
  • ベックの本はめちゃくちゃ売れたし、ギデンズは現在左派からも参照されている
  • これは社会学にとって喜ばしい