スコット・ラッシュ「再帰性とその分身」/0

【0】(導入)〔01〕‐〔04〕
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  • 情報化が進み、以前にもまして資本主義的特徴を強めている今日の世界秩序で、批判理論は一体どのようなものとなるのであろうか?私は批判理論の必須の要素を(ハーバーマスフーコーに抗してinstead)「再帰的モダニティ」という概念枠組みに見出しうることを論じていく。
  • しかし再帰的モダニティの理論は徹底的に把握された場合にのみ批判力を持つ。そのため、まだ明確化されていない側から(in terms of its own unarticulated other) 、言いかえれば、言外に想定されるコンテキストにおいて読まれたときに、批判critiqueとして機能する。「分身」というかたちで。他者性というかたちで。

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  • 方向は3つ。
    • 1、再帰的近代化とは、社会的行為者が、あるいはagencyが構造に対して持つ力を解明する理論である。
    • ⇒対し、私は再帰性の新たな構造的条件について論じたい。=《情報コミュニケーション構造information and communication structure》
      • ……【2】において論じる。
    • 2、ベックもギデンズも再帰性が「認知的cognitive」 であると想定。これは普遍的なものから個別的なものへの批判(啓蒙的伝統)を想定。
    • ⇒対し、私は《美的(感性的)aesthetic》 領域に着目。個別的なものによるハイ・モダニティの普遍的なものuniversals に対する批判。この場合、個別的なものは、美的なもの。
      • ……【3】において論じる。

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    • 3、再帰的近代化の理論は、個人化の非常に「強力な綱領」となっている。
    • ⇒対し、《共同体》の回帰現象も目の当たりにしている。
      • ……【4】において論じる。