2 videos directed by Takashi Miike(下書き)

ぼくは返却日が迫っていたレンタルビデオを2本観た。両方とも三池崇史が監督したものだ。三池崇史は日本で毎年コンスタントに4本から5本もの映画を撮っている商業的な監督だが、カルト的な人気もあるという不思議な監督だ。
一本目は村上龍原作のサイコ・ホラー“オーディション”。妻を亡くした制作会社社長の中年男性が再婚相手を探すために映画のオーディションを企てるが、夢中になった相手の女性がレクター博士以上のサディストで、とんでもない方向にストーリーは進む。これはロッテルダム映画祭国際批評家連盟賞、同オランダ批評家連盟賞を受賞している。海外では「フェミニズム・ホラー」と呼ばれているらしい。おそらく、サイコ役の女性が幼少期に虐待をうけていて、そのトラウマが原因でサディストになった、という設定から、そのような文脈で受け容れられたのだろう。原作の出版は1997年だが、当時の日本ではそのような「トラウマ実体主義」とでもいうものが流行していたのだ。ぼくはそのような文脈は受け容れられないが、サイコ役の女性が行うサディズム行為や彼女が虐待されるシーンの描写はとても素晴らしいと思った。アメリカでは海賊版のビデオが出回っているらしい。
二本目は現在日本で最も有名な脚本家である宮藤官九郎が脚本を担当した“ゼブラーマン”だ。普段は冴えない小学校教師が手作りの戦闘スーツを着て地球制服をたくらむ宇宙人と戦うというコメディで、素直に観れば楽しめる。だが脚本が、いわゆる「サンプリング・カットアップ・リミックス」の手法を巧妙に駆使して作られたもので、そのこと自体の賛否はともかく、サンプリングの元ネタがドメスティックな感じがして、そこはぼくは嫌いだ。