□■□■□■□■□日刊ルーマンクイズ・第20問■□■□■□■□■

まずは昨日の解答から。

Q19. システムシリーズ。システムとは、(1)〈システム/環境〉差異を用いてシステムの側を指し示したときの指し示された側(環境ではない側)であり、(2)互いに関係づけあった諸要素のまとまりであった。
さて、このシステムは、自己(システム)や環境を観察する。これは自己(システム)に属し、あれは環境に属す、などの観察をおこなう。しかしこれらの観察されたものたちは、端緒の〈システム/環境〉差異でいう「システム」「環境」に属しているのではなく、「システム」がみずから設けた《システム/環境》差異における『システム』『環境』に属している。すなわち、「システム」内における《システム/環境》差異にもとづいて「これ」や「あれ」が観察されているのであり、したがって、システムの観察はすべて、「環境に属する」と観察されたものも、システムがシステム内に構成したものである。
この、システムが自己内部に《システム/環境》差異を設けるという事態をなんというか。


A19. 再参入(re-entry)。
『社会の教育システム』ISBN:413010098Xを訳した村上淳一は、re-entryを「内部転写」と訳すべきだとしている。この訳語は再参入をイメージしやすい。つまり、システムは環境と区別されるが、この区別=形式(re-entryはスペンサー‐ブラウンからの引用だが、区別とはスペンサー‐ブラウンのいう「形式」である)にもとづいて、システム内部で自己言及と他者言及の振動が生じる。この形式は、閉じたシステムにとっては、システム内部における形式である。つまり(問題にも書いたけど)システムが自己創出しながら環境との境界を設ける場合の形式が、システム内部にも転写されて存在し、システムにとって利用可能だというわけだ。
ちなみに村上が「内部転写」と訳す理由として、ルーマンがre-entryを随所でナインコピーレンと言い換えていることを挙げているが、ではナインコピーレンはどう訳すのだろう、という疑問がわかないでもない。









Q20. 象徴的に一般化されたコミュニケーションメディアシリーズ。象徴的に一般化されたコミュニケーションメディアは、象徴的機能と同時に、それとは切り離しえない機能をもつ。「象徴的」の対概念ともなるこの機能は【A】的とよばれる。



答えは明日。

□■□■□■□■□ □■□■□■□■□ □■□■□■□■□