ベンヤミン・コレクションI

ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)

ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)

  • 言語一般および人間の言語について

言語となんの関係ももたない存在とは、ひとつの理念ではありうる。だがこの理念は、神という理念の圏域を表示する諸理念の範囲においてさえも、実りあるものとはなりえないのである。

ある事物の精神的本質はまさにその事物の言語のうちに存しているという見解――仮説として理解されるこの見解は、すべての言語理論がいまにも陥らんとする大きな深淵をなしている。(1)そしてこの深淵のうえに、まさにこの深淵のうえにこそ漂いつつみずからを保ち続けること、それが言語理論の使命なのだ。

(1) それとも、むしろ、仮説を冒頭に置くようにと唆す誘惑こそが、すべての哲学行為の深淵をなすのだろうか?

ww。