会計学入門一歩前
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
- 作者: 山田真哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/02/16
- メディア: 新書
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- さおだけという商品にそもそもの需要(ニーズ)がない
- わざわざさおだけ屋から買うメリットもない
というふたつの問題を孕んでいる。以上の問題点から、「ゴーイング・コンサーン」(企業は継続することを大前提とする)にかなう商売であるとは思われず、さおだけ屋の存在は、大きな謎として立ち現われてくるのだ。
筆者は2つの仮説を立てる。
- さおだけ屋は、実は売り上げが高い
- さおだけ屋は、実は仕入れの費用が低い
これらの仮説が検証されていくのだけれど、仮説1はほとんど詐欺(いや、文字通りそういう結論なんだよ)としても、仮説2の検証は、ああ、なるほど、と思わせる。といってもすごい結論ではなくて、どちらかというと、はあ、そうですか、みたいなものなのだけど、金儲けってじつはそういう「はあ、そうですか」みたいなシンプルな原則にしかもとづいていないのだ、ということの啓蒙として機能する。とくに冒頭のこの章、「1000円のモノを500円で買うのと、101万円のモノを100万円で買うのと、どちらが得か」という問題(これは後者が得なのだそうだ。費用削減は絶対額で考えなければならない)や、「情報源に偏りがある場合、費用対効果はわからない」というちょっと社会学的なハナシ(効用関数の合成〔の不可能性〕みたいなハナシに似てない?)が面白いと思った。