yoru_hikaruさんへのお答え
の
5:⇒社会の機能について問うことを妨げさせ、従ってある特殊な機能の割り当てによって【社会】を【異なる諸社会システム〔様々なサブシステム、のことかな?〕】から区別することを妨げさせることになる。
について。
ここで言いたかったのは、こんな感じのことです。
たとえば政治システムだけに定位しても、「社会における政治的機能」といった形で、一通り「社会」について語りつくすことはできる(かつての社会理論がそうしたように)。その「社会」は包括的な意味での社会ではないわけだが、社会における特定の領域というよりも、一側面に限定された「社会」ではある。{弱い例示:p16-17でほんのちょこっと示唆されているように、「専門家-一般大衆」の区別は、政治システム内部のものであり、ここでいう「政治」は「専門家」による領域的なものではなく、「一般大衆」も包摂するものである。}この意味で、「政治」「法」「芸術」etc.といった形で、一機能から見られた「諸社会システム」は、領域的に分化しているというよりは、「重なり合って」(同一のものの多様な側面として)存在しているのである。ゆえにまた全体-部分というモデルも役に立たない。
…以上【A】
これに対し、パーソンズのサブシステムという概念は、機能に即しているにせよ、領域的、かつ全体-部分モデルに即している傾向が強い。
…以上【B】
以上より、「【異なる諸社会システム】⊇【サブシステム】」と言い切ることはできないのではないか。
…が、しかし、【A】とか【B】とかどこからでてきたかというと、まず【A】については「このまどろこっし書き方(特に「異なる社会システムの一つ」みたいな書き方)は何を含意するのか?」というところに対する勘繰り。さらに【B】にいたっては「何となくイメージで…」という以上のものではなく、まあ、あまり気にしないでください。
*【A】と同様の論点は馬場靖雄さんの『ルーマンの社会理論』にもあった気がします。…手元に本がなく、確認できないのですけど…。
ああ、yoru_hikaruさんの言いたいことのリファー先がわかりました。それはとりあえずおいといて、とりあえず原文を見てみることにしましょう:
All das zusammengenommen hindert Parsons, nach der Funktion von Gesellschaft zu fragen, Gesellschaft also durch Angabe einer spezifischen Funktion von anderen Sozialsystemen zu unterscheiden.
例によってgogleで独英翻訳:
All that collected prevents Parsons to ask for the function from society to to thus differentiate society by indication of a specific function from other social systems to.
あー、誤訳はあるけど、佐藤訳よりはわかりやすいですね。
これは講演なので、原文の2個目のカンマ以降は、その前のGesellschaftを説明してるのでしょうね。「パーソンズをして社会の機能を問うことを妨げさせたのだ。その社会っていうのは、すなわち、特定の機能うんぬん」という感じで。
↓はおせっかい
- alsoすなわち
- durchによって
- Angabe指示
- anderen別の、他の
- unterscheiden区別する
ぼくなりに訳すとこうです↓
こういったことすべてが、パーソンズが社会の機能について問うことを妨げさせた。すなわち、ひとつの特定の機能を指し示すことによって社会を他の諸社会システムから区別することを、妨げさせたのだ。
ルーマンは「社会は社会システムだ」、と同節ではっきり述べているので、「他の諸社会システム」と「社会」の(機能の特定による)区別ができないと困るのでしょうね。