言説の分析

言説とはなにか

  • フーコーの問題設定は、言語をその存在etreにおいて捉えること。
    • その存在における言語のことを「言説」(ディスクール:discours)という
    • 言説のもっとも基本的な単位を「言表」(エノンセ:enonce)として規定する
  • 言表もまた記号的な要素の連なり(記号列)であるが、その存在様態は
  1. 文法的な規約によって成立する「文」(phrase)
  2. 公理体系あるいは論理的な構築の総体に帰属する「命題」(proposition)
  3. 一定の文脈のもとでその明示的な表現自体のうちに遂行される言語行為―発話内行為(acte illocutoire)
  • といった記号的な単位のいずれとも等価ではない
  • 言表が文や命題や言語行為などの外見をもったとしても、言表を規定し、言表に相関する空間は、(1)文法(2)公理体系(3)文脈のいずれでもない

言表の相関項

  • 言表するということは、諸記号にその現実的な存在を与えることである
  • そこでは言表機能の行使によって、諸記号はその存在を与えられ、出来事として、つまり言表として出現することになる

この言表機能を支える条件として次の四つの「相関項」が必要である

  1. 言表が関説するする対象領域
  2. 言表を語る主体の場所(制度的な位置)
  3. 言表が共在する領野(隣接する言表群)
  4. 言表がその制度的な物質性に支えられて使用される空間

これら四つの相関項に支えられて行使される「言表機能」は、諸記号に対して次のように働く

  1. 諸記号に意味を与えるのではなく、諸記号をある一定の対象領域に関係づける
  2. 諸記号を一個の主体(=起源)に関係づけるのではなく、諸記号を語ることのできる主体の位置を定める
  3. 諸記号を独立した単位として固定するのではなく、それらを他の諸記号と隣接し、共生する一領野のなかに位置づける
  4. 諸記号の文法的・形式的な同一性を決定するのではなく、諸記号が使用され、反復される言表空間の同一性を決定する
  • 言表機能の「相関項」を通じて働く戦略的な力の関係に媒介されてはじめて、言表群は「言説」として編成される