構造

構造という概念には、システムのなかで許容される接続可能性を制限するという意味がある。構造は選択ないし選出を行う。構造は、システムのオートポイエシスが、任意の要素によってではなく、特定の諸要素によってだけ継続されうるようにしようとする。構造は、言うなれば、特定の諸要素をより蓋然的なものとし、他の――同様に可能な――諸要素をより非蓋然的なものとするか排除することによって、個々の要素の継続的な生産を構造化するのである。この場合に、構造を、出来事を生み出す中枢機関のように考えてはならない。構造は「生産の要因ではなく、もとになるもの(Ur-sache)ではなく、諸要素の性質と結合可能性が制限されることによって形づくられたものにほかならない」(SoSy:384f.)。

クニール/ナセヒ『ルーマン社会システム理論』109

構造は、あらかじめ選び出すという機能、したがって選択を強化するという機能を引き受ける。後続する可能性のうち多くのものは排除され、少数のものだけが蓋然的になる。

クニール/ナセヒ『ルーマン社会システム理論』110

・・・構造化されていない複合性であればどんな時点でも、システム内部で要素と要素の連関が見いだされない状態に崩壊してしまうだろう。構造の形成というものは、このような崩壊を手がかりとして、そこから秩序を構築することにほかならない。構造の形成は、まさしく諸要素が崩壊することから、社会システムのばあいには、いっさいの行為が不可避的に消滅することから、諸要素の再生産のためのエネルギーや情報を引き出している。

『社会システム理論(下)』528-9

・・・システムの構造の核心は、それ以外の点でどうあろうとも、そのシステムにおいて許容される諸関係を限定することに存している。こうした諸関係の限定は、諸行為の意味の基盤となっており、そんなわけで、当然のことながら、自己準拠的なシステムが継続的に作用するさいには、ある行為の意味は、その行為に接続しうる行為が何であるかが明らかになるためのきっかけを与え、またそうした接続行為を根拠のあるものにしている。

『社会システム理論(下)』530