家族の持続問題

状態S1から状態S2への遷移において、家族が変動しつつも持続していると述べた。
単純に思いつくのは、家族の属性(確定記述)が変化することである。

家族はp1である

家族はp2である

家族の属性paは1または2である

……

などと、変更可能な確定記述は「変動」し、一方帰属先の「家族」は持続している。
ここで「家族」はクリプキ−柄谷流の固有名(固定指示子)として機能している。
無論「家族」は通常、一般名詞として機能しており、「この家族」の単独性を抹消する一般化のカテゴリーである。
ところが、時間的な次元では「家族」は固有名として機能する。

柄谷は一般名詞と固有名を区別した。「戦争」と「第二次世界大戦」を区別し、「日本一高い山」と「富士山」を区別するといったように。
ところが、ここで一般名詞であると考えられる「家族」「戦争」「山」「高い*1」などは、オペレーションの項となる際に、そのオペレーションにとっての代替不可能な先行与件となっているようにみえる。

*1:これは「名詞」ではないですね。「事象的意味」とでも言えばいいのかな。