ホメオスタシス
実際にも、いまでは遺伝子にはホメオスタシス遺伝子というものもあり、遺伝子のレベルにおいて動的な再構成をはかって遺伝的ホメオスタシスをつかさどっていることもわかってきた。
こういうことを見ていくと、進化論にもホメオスタシスを使った説明が可能になってくる。たとえば、環境に対するホメオスタシスが強くてセットポイントの維持ができている生物ほど進化が緩慢であり、変化に対するホメオスタシスに幅がある生物ほど次々に進化してきたというふうにも、言えることになるからだ。
これ、説明のしかたが逆、っていうかトートロジー、というか(「逆」と「トートロジー」じゃぜんぜん違うような、そうでもないような気がするけど)いや、うまく表現できないんだけど、説明じゃなくて記述でしかない(ぼくは「説明」より「記述」の方が好きだし「偉い」と思っているけど)んじゃないかなあ。
「ホメオスタシス・強」の生物と「ホメオスタシス・弱」の生物がいたとして
- 環境に適応できない「ホメオスタシス強」の生物は淘汰される=適応できる「ホメオスタシス強」の生物は選択される(生き残る)→大きな変化(進化)が必要ない
- 環境に適応できない「ホメオスタシス弱」の生物は淘汰される=適応できる「ホメオスタシス弱」の生物は選択される(生き残る)→セットポイントがそもそも多様だから多様に変化(進化)して生き残る
というだけの記述でしょう。
というか。
「ホメオスタシス」って、進化論上の含意しかない気がするのですが。
というか。進化論上の含意以外の含意を持たせてしまえば神秘主義じゃないの?
ホメオスタシスの謎―生命現象のゆらぎをさぐる (ブルーバックス)
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