中田英寿

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正直言ってオシムに監督が代わろうが、中田がいなくなったら日本代表チームにはまったく関心を持つことができない。おそらく(ユースも含めた若手選手のすべてを把握しているわけではないけれど)少なくともあと10年は中田の水準に到達できる選手は現われないだろう。
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21世紀に入る直前のサッカー界において、世界的な「MF不足」が深刻になっていたなかで、なぜか日本にだけ優秀なMFが多く育っていたことは、特異なことだった。不相応ともいえる日本代表チームに対する期待も、世界的なMFがゲームメイクをしていたからこそ高まっていたのだと思う。
そのなかでも、中田はまた別格だった。ペルージャ移籍後、中田はセリエAを代表するプレイヤーになっていた。
ぼくは今回のワールドカップの「戦犯」――日本敗退の「戦犯」などではなく――いいかえれば中田がひとりで守備をし、前線にパスを送るというプレイしかできないような条件を作り出した「戦犯」は、まずもってASローマパルマというチームだったのではないかと思う(フィオレンティーナは中田から「ボールに対する瑞々しい感情」を奪ったという大きな罪を抱え込んだ。このことはまた別格で、これについてまともに考えることも今のぼくにはできない)。
もちろん――今回のワールドカップを見てもわかるように――中田はボランチの機能を充分にこなすことができる。その隠れた才能を引き出したのはASローマパルマだったともいえる。ただし、それはたんにプレイヤーとして彼が群を抜いているているがゆえに、日本の守備不足を中田が補わなければならないという、消極的な理由から、ボランチの位置にいなければならなかった、というだけのことだ。
しかし、中田からモチベーションを奪ったひとつの(大きな割合を占めるという意味ではなく)要因は、ゲームメイクをしやすい位置に、常に位置することができなかったことではないかと思う。もちろん世界的には、ボランチでかつゲームメイカーというプレイヤーは少なからずいるだろう。中田にもその素養はある。しかしそのためには、優秀なウィングとサポート的なMFが必要なはずで、日本チームにはいなかった。そのような状況で、消極的な理由から中田に守備だけやらせるようなチームに、なぜ期待などできるだろうか?
中田一人だけは、期待していたようだったが(漫然とした「ニッポンガンバレ」のような“期待”ではなく)。
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中田は日本人選手としては唯一のファンタジスタだったし、今後10年は現われない。蓮實重彦

このような超人、あるいは動物に進化した選手がピッチを駆け回るのを見るのが私の理想。ロナウジーニョは人類を超えているのだから、国を代表して戦う必要などないといいたい。
中田英寿は超人かとも思ったが、やはり非常に優れた人類の領域なのだろう。

と述べるとき、中田が超人から人類への「退化」をしなければならなかったこと、この「戦犯」がASローマパルマというチームだったのではないか。
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小田嶋隆http://takoashi.air-nifty.com/diary/2006/07/post_7310.html
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[内面の吐露]まだぼくのパニックがおさまらない。失恋したとき固有の、胃のあたりが切れそうな苦しさ。もうなにもやる気が起きない。この苦しさを感じる原因が、自分が生きてこの世にいることであるなら、消えてなくなりたい、という思い。引退発表の夜から今朝にかけて何錠レキソタンソラナックスをのんだかわからない。[/内面の吐露]
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