『連弾』

竹中直人の監督第4作目。夫婦としては破局を迎えたあとも、母と娘の連弾によるピアノ発表会へ向けて奇妙な絆で結ばれた家族の物語をユーモラスに描く。夫の正太郎は家事全般をこなす専業主夫。一方妻の美奈子は、大手ゼネコンの設計課長として働くキャリアウーマン。そんな逆転夫婦が美奈子の不倫をきっかけに深刻な喧嘩に発展、美奈子はひとり家を出てしまう。が、発表会を目前に控え、娘との連弾のレッスンは続けるのだった……。

竹中ってなんで伏線でもなんでもない要素をシーンに必ず配置するのかなあ。たしかにそれが面白くて飽きないんだけど、ひょっとしてこれで引っ張ろうとしてるのかなあと穿った観方を誘うところはある。

専業主夫の竹中&キャリア組みの天海祐希、という政治的にちょっとだけ正しい夫婦が、妻の浮気を契機に、二人の子どもがからんできて、ようするに子どもたちはpaternityを誰からも供給されない立場にあって、その要件不充足による噴きあがりをそれぞれの立場で表現する、というのは面白い。のだけど、やっぱり竹中独特のユーモアが邪魔で、二人の子どもが重要な役割を映画の中で果たすはずなのに、あまりにも深みを欠いている(このばあい父と母は「深み」が必要ないのだけれど、ほとんど同じぐらいの深みのなさを子どもたちがもっているのはもったいない)。

感想は「面白かった」。だけど★三つ、ぐらい、かな。

連弾 [DVD]

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