レシートによる音楽短評・MRH


Manhattan Records Houseのレシートには購入した商品名が印刷される。これは画期的だ!自分が買ったものが何なのか、よくわかる!これがいかに有用であるのか、レコード激買いする輩にはよくわかるはずだ。




Dido"Thank You"Didoという女性ボーカリストをぼくは知らなかったのだが、顔写真がPOPに貼ってあって、70年代のレズビアンフェミニストのような風貌に魅了された(といっても70年代のレズビアンフェミニストにぼくは会ったことがないが)。ボーカルはすばらしく、トラックも今年のTOP5にランクイン必至の良質のガラージハウスになっている。プロモ盤なのかブート盤なのかは不明。アメリカのiTMSDidoを検索すると原曲は1ドル以下でダウンロードできる(http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?playlistId=27007530&s=143441&i=27007396)。原曲は、なんというか、ぼくにはピンとこないフォーキーなロックだが、すぐれたボーカリストであることはたしかだ。それにしても、iTunes6以降でダウンロードしたm4pファイルはJHymn(http://www.hymn-project.org/jhymndoc/)でプロテクト解除しようとしてもできない!ショック!



SAS"HEAVEN"SASといってもSouthern…のほうではなく、LOVELAND RECORDINGSというオランダのレーベルの、これぞアンダーグラウンドガラージ・ハウス!というべきイタロ風味ディスコハウス。CISCOによれば5月にはすでに発売されていたらしい(http://www.cisco-records.co.jp/cgi/title/house/detail_133352.php)B1の"MIDNIGHT"とB2の"HEAVEN"がすばらしい。今回購入ラインナップではぼくのベスト。



Third World"Now That We Found Love"。SIMPLY 12から続々発売されている過去の名曲シリーズの一枚。タイトルからわかるように例のあの曲。特記事項はない。David MancusoLarry Levanのプレイで、レゲエよりもハウス方面で有名に。S12以外ではislandからも再発されている。原曲のオージェイズのバージョンも聴いてみたくなった。というわけでさっそくiTMSから購入(http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?playlistId=814353&s=143441&i=2478719)。



Georgio Moroder"The Chase"。これもS12より。つまりオリジナルバージョン。ベースラインはドナ・サマー"I feel love"そのままに、ジャーマンプログレのようなアナログシンセリードがのっかる。というかこれ、ジャーマンプログレだろ。笑い。"The Chase"って数年前にリミックスが出たはずで、部屋の中探せば見つかると思うのだけれど、同時期にほとんど同ネタの卓球の曲なども出て、これはいったいどうしたものかと悩んだ記憶がある。そうするとB面の"From Here To Eternity"はノイエ・ドイッチェ・ヴェレになるのか。これはこのまま今すぐに使える。



The Chemical Brothers"Star Guitar"。CBでいちばん好きなSTAR GUITAR(2001年の曲)が再版されたようだったので購入。「ガタンゴトン」音楽としてかつて紹介したことがあった(延々電車走行のループを写したミシェル・ゴンドリーによるPV→http://d.hatena.ne.jp/hidex7777/20041021/p1)。まあ、それだけで、いまさら特記事項はない。今聴いてもよい曲だと思う。B面のPete Hellerリミックスはぼくにはどうでもいいのだけれど、ハードハウスDJにはかなり使える良MIXだと思う。



Tiger Stripes"Spirited Away"。nite Grooves(http://www.kingstreetsounds.com)の新作はなぜかタイトルが千と千尋。A1がすばらしく、基本的に、ネタBasement Jaxxの"Summer Daze"なのだが、ミニマルなループに強いストリングスが絡んで、"Strings of Life"を彷彿とさせる。ラテンハウス+ミニマルループで、"Sueno Latino"のより洗練されたバージョンといったところ。カップリングの"Amphytrion"もロマンチックすぎるとはいえ、素晴らしいディープハウス。



Salome de bahia"Copacabana"。タイトルどおり、Barry Manillowの超有名曲のラテンハウスミックス。というわけで原曲をDL(http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?playlistId=16627&s=143441&i=16497)。抑制されたDubが使えそうだが、2枚使いでMainとMIXするDJが続出することが容易に想像される(いまのぼくはそういう気分になれないけれど)。



Cyndi Lauper"Time After Time - Tribal Version - "。例のあの曲のトライバル・ハード・ハウス・ミックス。例によってプロモ盤なのかブート盤なのかの判別がつかない。おそらくブート。レーベル外側のヴァイナル部分にリミキサーのHOTMAILのアドレスが掘り込んである。ぼくには使い道がないが、大箱パーティの朝方によく使われるのだろうと思う。



Kylie Minogue"Love At First Sight"。去年のベスト盤"Ultimate Kylie"Ultimate Kylieからのシングルカット……ではないな。シングルが去年の4月発売でアルバムは12月。アルバムでは日本版にのみ収録の"Can't Get Blue Monday Out Of My Headが収録されているのでシングルカットに思えた。"Love at"も良い曲だしそのREMIXもすぐれているので、推奨。



Kaoru Inoue"On Tne Road/The Secret Edge"。最新アルバム"The Dancer"からのシングルカット。アルバム自体が彼の最高傑作だと思うが、その中でもとくに良曲をヴァイナルで出してくれるのはうれしい。"On The"は"Sueno Latino"やPaperclip People"Remake"を彷彿とさせるディープ・ハウス、"The Secret Edge"はASHRAやGoettschingを彷彿とさせるジャーマン・プログレ。彼のDJスタイルに対して「スピリチュアル」という形容を安易に付与する傾向をあまり良いことだとは思わないが、それは批評の水準での語彙不足が問題なのであって、こういった曲を聴くと、音楽によるSpiritualな体験の具体例を知らざるをえない。