綿矢りさ『インストール』文庫化、河出文庫リニューアル。

インストール (河出文庫)

インストール (河出文庫)

2001年に単行本で出たものがなぜ今になって文庫化されたかといえば、河出文庫(の装丁)がリニューアルされてその第一弾として書き下ろし短編付きで目玉としての価値を備えたものとしてはあの芥川賞作家のデビュー作がふさわしかったからだ。
高橋源一郎の解説も付いているが非常にいいかげんで、それは良い加減という意味ではなくほんとうにてきとうに書き散らしたものでそれも適切という意味ではなくいいかげんに書かれたものでうんざりした。高橋は「完璧!」とか「快感!」とか綿矢の本に書き込んでいるらしく、「快感」と書いたときの気分は「セーラー服と機関銃の薬師丸ひろこの気分」なのだそうだがそれはふざけて書いているのか気が利いた言い回しとして書いているのか定かではなく、しかし例の『ドラえもん』のパロディ小説のような「実験小説」を読んだときのような嫌な気分を味わったのでたぶん本気で書いているのだろう。と思ったが、例の実験小説も嫌がらせで書いているのかもしれず、確信犯なのかもしれないと思った。
綿矢の書き下ろしも同様の印象を受けた。嫌な印象ではないけれどもなんでこの人はこの作品を書いたのだろうと不思議に思った。河出が文庫リニューアルにあたって依頼したからだろうな、と思った。