予習:規範理論てナンジャラホイ?

google:規範理論とは

60年代末の異議申し立ての季節、70年代後半からの福祉国家の危機、80年代のフェミニズムリバタリアニズムコミュニタリアニズム、90年代の多文化主義、等々との福祉国家の緊張関係のなかから、福祉国家を規範的に位置付ける――それは批判でも擁護でもあった――議論が続いている。

「規範理論」とは「社会保障を含む現実の民主主義社会の公共的文化の中に宿っている観念を理論化したもの」であり、「制度を前向きに組織化する原理」となる。具体的な制度は「帰結」に過ぎず、制度を構想する「土台」と制度・政策を評価する基準は規範理論によってこそ与えられる。さらに、規範理論は制度設計者のためのみならず、「社会政策を考えるときの市民の内省の手引き」ともなる。

1-1 実証理論と規範理論

 理論を考える場合、実証理論と規範理論を区別することが有用である。実証理論とは、科学的方法を使って検証されたものであり、一般的に理論というとこちらを指すことが多いと考えられる。一方の規範理論とは、あるべきことは何かを示す理論であり、科学的検証ができない。しかし単なる主張というのではなく、ある程度確立された「あるべきこと」である。 規範理論は実証理論のうえに組み立てられる。もし実証部分がなければ、それはただの主張や言説となる。これに対し、実証できることのうえに組み立てられていれば、ある程度確からしく、理論の根拠がある程度明確になる。しかし、規範理論そのものは証明できず、より多くの人が納得することで強化される。
[参考文献] 建築理論の創造 ジョン・ラング著 高橋鷹志監訳 鹿島出版会 

現代倫理哲学における普遍主義と個別性