書き出し

この論文は「《著作権》という社会現象を主題にして社会学的に語る」というひとつの目的のもとに書かれているが、大きく2つのパートに分かれる。第一に、「《著作権》という社会現象が【いかに】社会的に営まれているか」を社会学的に記述する。第二に、「《著作権》という社会現象が【社会において】いかに作動しているか」を社会学的に記述する。前者は、《著作権》を主題とした相互行為の分析であり、後者は《著作権》の社会にとっての機能分析である。お望みならミクロ分析とマクロ分析と言い換えてもよいが、かなり問題含みの言い換えである。社会的に制度化された現象でなければ相互行為の主題になりえないし、「社会的に制度化」された現象と呼ぶことができるのは現実にそれを主題とした相互行為が観察される場合だけだから――精確に言えば相互行為の可能性/観察可能性をもってして制度とわれわれは呼ぶから――である。