【ひぐらしのなく頃に】解が中止だが無茶する前にこれを見ろ

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1104914



ぼくもバイトから帰ってきて疲れて寝ちゃって、起きてから(6時ごろ)知ったので、大手既成メディアによる報道のされかたとか、そこいらへんの詳しい事情はよくわからない。中止なのか休止なのかもわからない。
http://www.asahi.co.jp/move/変な報道の仕方をしたこと、読売(報知)が事件発覚のごく初期に【「ひぐらし」との関連性】という情報を伝達していたこと、ぐらいしか知らない。
ぼくの考えをいうと、もし犯人が竜宮レナとのシンパシー的な関係性にあったならば、凶器に斧は絶対に選択しない。鉈でなければ成り立たない(「スクイズ」だったら鋸でなければならないのだから、もっと「ない」)。ムーブは「ひぐらし」の「内容要約」と称して、「主人公の少女」が「親の離婚騒動をトラウマ」として「斧で敵を殺していく」、というまったくデタラメな報道をしたらしいけれど、馬鹿な大手既成メディアをいまさら批判してもどうしようもない。
「『ゲームやマンガやテレビが犯罪の要因になる』とかっていう《強力効果論》は科学的に否定されているんじゃないの?」と思う方も多いと思う。しかし実は、強力効果論は90年近く「実証によって否定され続けている」だけであって、姿を消したわけではない。「ゲーム脳」のような笑い話のことではない。今現在、強力効果論をやっきになって「実証」しようとする潮流がじっさいにあるのだ。恥ずかしい話しだが、慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻でもそのような研究が行われている。内部事情を多少知っているから暴露するが、論文執筆者は「強力効果論は肯定できるか否か」を実証によって明らかにしようとしているというよりも、「実証という手続きをとって、なんとしてでも肯定しなければならない」という動機づけで研究を行っている。もちろん、どのような動機づけで研究を行っているのかを「問題にする」ことは「悪い」ことである。問題なのは、そのような研究を行っている人がいるのだから、そうした研究を否定するような言動は慎むべきだ、という空気が蔓延していることだ。ぼく自身、院ゼミで強力効果論に対する否定的な発言をしたとたんにとある教員に研究室に呼び出されて恫喝された経験がある。
重要なのは、「実際にゲームやマンガが犯罪や暴力性の要因になるか否か」ではない。もちろん学システムの世界では「真か偽か」がいぜんとして主導的だ。しかし社会的に問題なのは、「実際にどうか」、ではなく、「要因になるであろう」という「もっともらしさ」が「現実」として存在している、ということである(社会学ニクラス・ルーマンは「マスメディアは現実を歪めて伝えるのではない。現実を生産するのだ」と述べた)。一度も実証的テストを行ったことがない者でも、「暴力表現は暴力への影響があると思う」と簡単に述べることができる。どんなに否定しても、そのような言表は無尽蔵に湧き出てくる。科学的に否定してみても、まったく意味がない。ぼくたちはそのような社会で生活している。

ところで冒頭で紹介したニコニコ動画の作品で、作者は「待つこと」を呼びかけている。ぼくも現状ではそれが最善策だと思う。
まず一週間待つ。東海TVだけが休止なのか。その他の局も休止だとして、いつまで休止が続く予定なのか。それとも中止なのか。それを知るために。
中止が決定的になれば、圭一が教えてくれたように、相談しよう。そして正攻法で攻めよう。
正攻法とは、科学的方法(だけ)ではない。現実=社会に介入しなければならない。そのさいに科学的「見地」も必要とされるかもしれない(し、されないかもしれない。科学は「ひとつの」現実でしかない)。
暴力表現が人間の暴力性に影響を与えうる、という信念をもつ人びとが現実にいることは変えようがない。そういう人びとを一挙に説得しようとすることは、正攻法とは思えない。
もっと別の手段を。




【追記】これもね。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1101965


ムーブの報道はhttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1094350