村上龍『「わたしは甘えているのでしょうか?」27歳・OL』(22/100)

わたしは甘えているのでしょうか?27歳・OL

わたしは甘えているのでしょうか?27歳・OL

『SAY』で連載されてたお悩み相談コーナー。帯には「バカバカしくも切実な悩みに村上龍が優しく答える。」などと書かれているが、「バカバカしくも切実な悩み」というより、もう、「みもふたもない個別的かつ世俗的悩み」というべき「悩み」ばっかり。
「フリーターや派遣社員は『時間の切り売りだ』と親がダメ出しします…安定しないからダメ、と。でも正社員もやってることは同じ」とか。「会社の業績が悪いためか職場の雰囲気が最悪なのです…。どうせなら20代のうちに転職すべき?」とか。
相談者が自分のスペシャルケースを一般化してしまい、村上がそれに対して「そういう一般化はできないよ」と答えるパターン。
それで、「じゃあ一般的にはどうかというと…」などとは答えずに、「一般的なものいいができない時代なのです」と答えるパターン。
宮台真司の相談コーナーが昔『ダ・ヴィンチ』にあったけれど、あれってひとつの宮台自論を展開するためのコーナーで、そのために相談が選択されていた感じじゃないですか。なんかそんな感じがするだけだけど。コール・アンド・レスポンスな感じがした。熱くてのりのりのろっくこんさーとみたいな。その熱さについていけなくなると、ついていけない。
時代診断は2人とも近いのね。でも村上が選ぶ(応答する)相談は、宮台だったら選択しないだろうなあ、という非常につまらないもので、答えの出し方も非常にみもふたもないやり方で、「何か気の利いたこと」を言おうという意志に欠けてると思った。それが面白かった。
カンブリア宮殿のミクロの決死件の原案だそうです。