Social Systems ch1.2.7-8
三田ルーマン研究会もここのところ徐々に参加者が増えてきて、うれしい限りです(二人きり、とかもあったなあ……それはいいのだけど、参加者が増えると、やりがいがでてきますよね。関心をもっている同好の士がいるということが目に見えるのと見えないのとでは大きく違う)。
ところで『社会システム理論〈上〉』(Soziale Systeme: Grundriss einer allgemeinen Theorie/Social Systems (Writing Science))の第1章にかなり長いことかかずらってんですが、前回の2節6項「複雑性の問題」は厄介な箇所であったにもかかわらず、BBさんが来てくださったことで時間内に終了。
今回はBBさんは集中講義期間中ということで若い衆で。7項「システム境界」8項「システムと複雑性の区別」。短い箇所であるにもかかわらず、9項「自己言及」に入れなかった……。ふがいない。
とりあえず読書会でひっかかったところを、トリビアルなものも含めてメモ。[NN]は段落番号を示す。
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- 7 システム境界
- [01]第一文目の邦訳は間違ってないか。
- [03]
選択的な関係づけをおこなうためのシステム内的な組織は、
- 諸システムを、互いにとって未規定的であるような状態に導き、
- こうした未規定な状態に対処する新しいシステム(コミュニケーション・システム)を生み出す。
というとき、――たんじゅんにDKの問題解決と読めば理解はできるが――それまで「一般的な」システムについて論じていたのに、ここでいきなりコミュニケーション・システムについてのみ述べる、というのは唐突で変ではないか。
- [03]「自己生成的境界」(邦訳だと「みずから作り出した境界」原文"self-generated boundaries")はロジャー・G・バーカーというひとのタームらしいが、定訳はあるか?
- [03]「膜、皮膚、壁と門、国境警備兵、検問所など」といった「境界」の例示が、どういう意味でシステム境界だといえるのか、わからない。
後者3つは、組織にとって意味的に機能する「境界」とはなるだろうが(壁と門が企業組織の運営される場所を示すように)、ではなぜここで組織しかとりあげないのか?
- [05]「発展のダイナミックスというパースペクティヴからすると境界とは強化させられうるはたらきのことである」(hidex私訳)の部分、邦訳は間違ってません?
- [05]「連続性や連続的な過程」として挙げられる例示:「たとえば、社会化によって規定される行為」のほかに、なにか例はないか。
- [06]
そのような状況下では、境界の規定は、内的なものへと移行する。すなわち、これは自己言及的閉鎖系において確認される。それらの境界は、それらのオペレーションのモードによって規定され、すべての環境接触はリアリティの異なる諸水準を通して媒介される
というときの「リアリティの異なる(他の)諸水準」「媒介」といったことをどのように理解すればよいか。(――hidex回答「これは構造的カップリングのことをいっているのではないかと思う」)
また、「オペレーションのモード」というとき、社会システムのオペレーションのモードは「コミュニケーション」だとして、「法システムのオペレーションのモード」「政治システムのオペレーションのモード」は、「コミュニケーション」以外のなにかを示せるのか(バイナリコードを前提とした観察、ということになるのか)。
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- 8 システムと複雑性の区別
- [04]「最悪のばあいには、自己適応のせいで破綻してしまう」というときの「破綻」をどうイメージすればよいか。(――hidex回答「最悪のばあい」といっているので、ルーマンはほとんど破綻はありえないと思っているのではないか)