我が子を守れ

『ヨミウリウィークリー』2005.2.13が、

  • 親が知らない「児童性愛」の実態 我が子を守れ「性犯罪」防衛術

なる「煽り」記事を特集。
とはいってもデタラメばかり書いているわけじゃなくて、おおよその文脈はおさえてある(雰囲気を漂わせている)。
大見出しはよっつ:

  • 禁止法規制外で増殖「乳幼児ポルノコミック」

この項目がもっとも偏見に満ちていて、変な記事。秋葉原で売られている「幼稚園児・乳幼児ポルノコミック」をさしていわく:

しかし、これは明らかに児童ポルノではないか。違法ではないのか。

これに「専門家」の「こうしたコミックは、児童ポルノ禁止法の対象とはならない」とのコメントを付け加え、アキバ同人誌ファン専門学校生(21・埼玉県)の「一部にこうした雑誌があるからといって、同人誌愛好家が白い目で見られるのが一番怖い」とのコメントを紹介。

オタク文化」が幼児ものを生み出したというより、児童ポルノ写真なども好む小児性愛嗜好の強い人々の需要が、アニメやコミックに幼児ものというジャンルを出現させたと考えるべきだろう。それにしても、こうした出版物などへの何らかの規制が必要ではないか。“合法”とはいえ、乳幼児ポルノが堂々と市販されている現実。そこに、今のニッポンにはびこる小児性愛の深い闇が垣間見える。

何を言っているのか、ポイントが不明瞭すぎて一貫した情報になっていないのだが、単純に「煽り」記事の導入として読むのがよさそう。「乳幼児ポルノコミック」は「児童ポルノ」ではないが(法によって「児童ポルノ」と同定されない)これは「乳幼児ポルノ」であり(あれ?)、「規制が必要」で、「小児性愛」がはびこっている。云々。

  • 児童狙う性犯罪「倍増」の知られざる現実

前項目との関連性がまったくわからんのだが、女児誘拐殺人事件にからめて「女児を完全に支配したいという性的な欲求からの犯行。『小児性愛』という性倒錯がみられます」という小田晋のコメントをひく。
例によって「警察庁の統計」から、「児童の刑法犯被害件数(2004年1-11月)」、未就学児・小学生・中学生の「強姦被害合計(1994年-2003年)」「強制わいせつ被害合計(1994年-2003年)」「略取・誘拐被害合計(1994年-2003年)」の4つの統計データをテーブル化・グラフ化。とくに「強姦」「強制わいせつ」事件に関して「明らかに増加傾向にあることが読み取れ」る、としている。例によって有意性検定なし
なぜ「過去10年間の推移」でなければならないのか、さっぱりわからない。また、一般的に「強姦」「強制わいせつ」の被害件数の増加は児童に限らない(「実際の被害」のトータルは知りえないが、警察庁統計上の数は増加傾向にある)のではないか、あるいは児童の被害件数の増加は「実際の被害」の増加とどういう関係があるのか/ないのか。

この項目では続いてペドフィリアDSM-IVにおいてサディズムフェティシズムとともにパラフィリアに分類されていること、性犯罪再犯予防プログラム・自助サークルを紹介。例によって「重要なのは母親」「女性の社会進出が進み、気後れし」という小田daisenseiのコメント。

児童を狙う性犯罪を食い止めるには、まず小児性愛という精神疾患に対する認識を高める必要があるだろう。

とのこと。
社会の危険。精神疾患。統治性。嗚呼、フーコー先生。。。

  • 対策編 性被害から子どもを守るには

この項目では暴力防止のエンパワメント・センターを紹介。被害者に対処する力をつけさせるプログラムを評価。被害者が「自分は被害にあったのだ」ということを言説化できる反省性を高める教育、および性的な言説を受け止める親の側の啓蒙の必要性。
まあ、もっともである。
この項目は情報価値があるのでは。

  • どうする前歴者の処遇

囲み記事で、わりとまっとうな再犯防止対策を紹介。「警察段階での情報登録にとどめているカナダのような『性犯罪者情報登録法』をまず制定し、段階を経て次の対策を考えたほうがよい」と述べる藤本哲也(中央大)氏の意見。
と、かなりまっとうにみえるが、「『性犯罪者の再犯率が高い』と、よくいわれる。現に、奈良の事件の容疑者は、子どもへの性犯罪を繰り返していた」という一文でこの項目を書き出していて、ずっこけさせる。サンプル数1。